中編小説
あと数秒で
今、私は泣きながらあなたの遺影を見ている。これ以上、生きることができなかったあなたの傷を想いながら。
抜殻の潮騒
この世にいても雑音しか聞こえないなら、鼓膜なんか突き破りたい。聴覚過敏に圧迫されて苦しむ彼は、波音だけを求めてひなびた島に逃げこむ。
陽当たりの良い場所【R18】
その瞳で見下ろされると、死刑があるだけ刑罰のほうが慈悲があると感じる。通学中、すれ違いざまに挨拶だけ交わす年上の彼女に近づけた少年は──
雪薬【R15】
枕営業も厭わないホステス。彼女を支えるのは処方される大量の薬。薬さえ飲めばまともでいられるんだから、それでいいじゃない。
雪の果て
特に幸せも見つからずに三十歳になった。SNSでやりとりしてくれる人が、かろうじて心をなぐさめてくれる中で──
ゆらいでひらいて
正反対に成長した幼なじみのふたりに、突然打ち明けられた想い。どんな答えを出したら、誰も傷つかないの?
夜に羽音
長年の不倫相手だった相手と、とうさんが結婚するらしい。相手の女には、俺とタメの娘がいたのだが──
Monotone Stars
どちらか選べないほど、大切なふたりの幼なじみ。彼らに同時に想いを告げられて、私はどうしたらいいのか分からない。
START OVER
夢の中くらい幸せな恋ができたらいいのに。そんなことを思うアラサー女子は、不安も感じながら日々の中にいたけど──