非常階段-Monologue

忘れることができないなら

 こんなことなら、もういっそやめてしまいたい。
 そう思ったことはないだろうか?
 続けていたってどうせつらくて、憂鬱で、思い出したくもないことになる。
 だったら最初から何も始めず、すべてまっさらにしておいたほうがいい。
 全部投げ出して、こんなところは逃げ出す。
 紙をシュレッダーにかけるように粉々にして、なかったことにする。
 ここにいても、頭の中がどろどろと膿んだ記憶に汚れていくだけだ。
 やめてしまえばいい。
 非常階段を降りて、抜け出せばいい。
 毎日そう思って、裏門への道を見下ろしているけど、やっぱり、チャイムが鳴るとのろのろと公開死刑じみた恥さらしを受ける教室に引き返してしまう。
 何でだろう。
 そこまでして、俺はこの中学時代に何を残すつもりなのだろう。

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