
中編小説
アイオライトの夜
あの残暑の夜を、私はきっとずっと忘れない。乾燥した退屈な日々を送っていた少女は、クラスメイトの少年と「帰らずの森」に踏み込むことに……
あと数秒で
今、私は泣きながらあなたの遺影を見ている。これ以上、生きることができなかったあなたの傷を想いながら。
イノセンス
虐待やイジメを受けながら、私がまだ生きていられるのは君のおかげ。でも、きっと君はこんな私を赦してくれないね。
片想い
お前にとって俺は兄貴みたいなもの。どんなに懐いてくれてても、この気持ちを知ったら「気持ち悪い」って離れるんだろ?
君が溺れる深海
高校生になるのを機に、イジメから脱出したくて派手な自分を造った。しかし、友達になれた子に中学時代を知られて……
恋にならない
三十歳。誰とも結婚しない気がしてきた。そのほうが気楽だと思った。なのに私は貴女と──ねえ、私たち、友達のままならよかったの?
砂糖づけの人形
容姿のことでイジメられて以来、髪をほどくこともなくなった結菜。そんな結菜の前に現れたはとこの美少年の過去は──
空に手が届かないなら
失踪からやっと見つけた彼女は、俺のすがたに抑揚なく言った。「好きな人ができたの。だから、君とは終わりにしたい」
抜殻の潮騒
この世にいても雑音しか聞こえないなら、鼓膜なんか突き破りたい。聴覚過敏に圧迫されて苦しむ彼は、波音だけを求めてひなびた島に逃げこむ。
ミメシスの夜
昼は「普通」に紛れて過ごす彼女たちは、夜、いつものバーでありのままのすがたになる。つるむ四人で過ごす夜、柳という中年男性が現れ……?
雪の果て
特に幸せも見つからずに三十歳になった。SNSでやりとりしてくれる人が、かろうじて心をなぐさめてくれる中で──
ゆらいでひらいて
正反対に成長した幼なじみのふたりに、突然打ち明けられた想い。どんな答えを出したら、誰も傷つかないの?
夜から月をすくって
親友の進学には複雑な家庭が絡んでいるらしい。同じ高校に進んだ俺は、そこで親友の幼なじみである女子ふたりと出逢う。
夜に羽音
長年の不倫相手だった相手と、とうさんが結婚するらしい。相手の女には、俺とタメの娘がいたのだが──
わらび
大学受験に失敗にして、日課といえば愛犬の散歩だけ。そんな僕は、「わらび」という名前のビーグル犬と出逢い──
Monotone Stars
どちらか選べないほど、大切なふたりの幼なじみ。彼らに同時に想いを告げられて、私はどうしたらいいのか分からない。
Second Chocolate
報われない恋を断ち切るために君とデートする。 やがて迎えた、二度目の恋のバレンタインの行方は──
START OVER
夢の中くらい幸せな恋ができたらいいのに。そんなことを思うアラサー女子は、不安も感じながら日々の中にいたけど──
360°
「僕、女の子が好きなんだよね」ある日親友が打ち明けてきた。男ならそうだろうと思った俺に、親友は自分の心は女の子だと訴えて──?